BOTANICAL DYED
“MOSS”
苔色(こけいろ)—日本の風景にある緑を、デニムに

日本の庭園や寺社を歩くと、石や土の上に静かに広がる緑に出会います。それは、苔。控えめでありながら、風景に奥行きを与える存在。雨に濡れれば鮮やかに、乾けばひっそりと、四季を通じてその場に在り続ける。
この緑を、日本では古くから「苔色(こけいろ)」と呼んできました。BOTANICAL DYED "MOSS"は、その苔色をデニムの上で表現する試みです。日本の自然と文化の中で親しまれてきた色を、デニムとして形にしました。
FABRIC
日本人が苔に見てきた色

苔の緑は、ひとつではありません。光の当たり方、湿度、季節によって、同じ苔でも印象は少しずつ変わります。その微妙な差を、日本語は細やかに区別してきました。
苔そのものの緑を写した「苔色(こけいろ)」。年月を重ねて深みを増した緑には「老緑(おいみどり)」。長い時を経てなお色褪せない緑を「千歳緑(ちとせみどり)」と名づけました。ひとつの植物から、これだけの色の名前が生まれている。苔がいかに日本人の暮らしに溶け込んでいたかがわかります。
その繊細な色の世界を、デニムで表現できないか。苔を「染料」として取り出せるのか。その問いに、一つひとつ手を動かしながら向き合うことから始めました。
天然染料が生む、色の奥行き

天然染料で染めた色には、どこか一色では言い表せない奥行きがあります。その理由は、天然染料に含まれる色素の構造にあります。
植物から抽出される染料には、複数種類の色素分子が混在しています。それぞれの分子が微妙に異なる波長の光を吸収し、反射する。その反射光が繊維の表面や凹凸に当たり、一方向に返らずにわずかに散って戻ってくる。この多層的な光の干渉が、単色に見えながらも平坦にならない「ゆらぎ」をつくり出します。
苔の染料の場合、このゆらぎが「穏やかさ」として表れます。屋外の自然光の下では明るく透き通り、室内の照明ではやや深みを増す。同じグリーンでありながら、環境によって少しずつ印象が変わるのは、人工的な単一色素の染料では再現できない、天然染料ならではの特性です。
苔の色を、永く届けるために

自然由来の色には、美しさと引き換えに日焼けや色抜けといった弱点があります。苔から引き出した穏やかなグリーンを日常の中で永く楽しめる一着に仕上げるために、独自の助剤を用いた染色方法を採用しています。
まず独自の反応染めで生地を下染めし、色の土台をつくる。その上から苔の天然染料で丁寧に染め上げることで、自然が授ける色の奥行きと、現代の技術がもたらす色落ちしにくい安定感を両立させています。
煮出し、濾過、染色と、いくつもの工程を職人の手で丁寧に重ねていく。繊細な素材だからこそ、温度や時間のわずかな差が色味を大きく左右し、求めるグリーンへ近づけるには長年の経験に裏打ちされた感覚が欠かせません。自然の恵みと職人の技術、その両方が交わることで、BOTANICAL DYED “MOSS”の色は生まれています。
BOTANICAL DYED "MOSS"の3型
苔のボタニカルダイで染め上げた「MOSS」を、ジャケット1型、ジーンズ2型で展開します。穏やかなグリーンが、装いに自然な奥行きを与える。そんな色を3つのシルエットで提案します。
#002 DENIM JACKET - MOSS
#002 JACKETは最もベーシックなフィットのダブルポケットジャケット。ややゆとりのある身幅、程よい着丈が特徴。スマートで使い勝手の良いサイドポケットを実装。
#100 STRAIGHT - MOSS
#100はオーソドックスな太さのストレートフィットモデル。程よい太さで、膝下にかけて緩やかなテーパードをきかせた洗練されたベーシックシルエット。股上がやや深く、腰回りをゆったりと包み込む構造。
#200 TAPERED - MOSS
#200は細めのテーパードフィットモデル。太ももはややゆとりを持たせながら、膝下からテーパードをきかせることで、穿き心地も追求したタイトシルエット。股上はやや浅め。
