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What’s made us “EXCLUSIVE”?

What’s made us
“EXCLUSIVE”?

2025.05.09 STORY

 

CONTENTS

異素材から生まれた異色のデニム
開発者が語る、“EXCLUSIVE”ができるまで。
デニム地でも際立つカシミヤの上品さ
“EXCLUSIVE”の生地ももちろん旧式力織機製
なめらかシルクと極上の肌触り
その品質は、職人たちの意志表示

 


 

普通ではあり得ない、カシミヤやシルクという上質素材を緯糸に使ったデニムレーベルが、「EXCLUSIVE」。デニムの進化を掲げ、はき心地もルックスも新しいデニムを模索した末でMOMOTARO JEANSがたどり着いたのがこれらの素材でした。繊細で質感もコットンとは明確に異なるこれらの素材でのデニムづくりが日の目を見られたのは、長年培った生産の現場や職人たちとの関係性があればこそ。レトロスペクトでもアヴァンギャルドでもない、デニムのストーリーの新たな一歩としてのMOMOTARO JEANSの提案。脚を入れるたびに新鮮味が味わえる、「EXCLUSIVE」な体験のファクターにフォーカスします。

 

PHOTOGRAPH : Kousuke Matsuki | Kazumasa Takeuchi(Ye/product)
EDIT & TEXT : Rui Konno

 


 


 

異素材から生まれた
異色のデニム

 


 

What’s made us “EXCLUSIVE”?

 

Zimbabwe Cotton
ジンバブエコットン

 


 

デニムのヘリテージを基にしたMOMOTARO JEANSの原点を継承するプロダクトを展開する「CLASSIC」と、MOMOTARO JEANSの解釈で現代的なアップデートを施したデニムが揃う「STANDARD」シリーズで緯糸に用いているのは、すべてこのジンバブエコットン。繊維が細くて長く、耐久性にも優れた中長綿で、デニムをつくる上で理想的な条件を満たす高品質な綿。

 


 

What’s made us “EXCLUSIVE”?

 

Silk
シルク

 


 

見た目の美しい光沢通り、なめらかな触感が特長のシルク素材。吸・放湿性に優れているため夏場はドライで着心地がよく、一方で保温性も高いので冬場は暖か。日本人が古来から親しんできた、通年通して快適でいるための素材の知恵を、デイリーウェアのデニムに活かしています。

 


 

What’s made us “EXCLUSIVE”?

 

Cashmere
カシミア

 


 

一頭あたりから採取できる量が少ないため貴重なカシミヤ繊維は、山岳地帯の厳しい自然環境から身を守るためにカシミヤ山羊が培った天然の機能素材。抗菌・防臭効果を備えていて、吸湿・速乾性にも富んでいます。何よりそのやわらかな肌触りで、厚手のデニムは通常味わえない心地よさに。

 


 

開発者が語る、
“EXCLUSIVE”ができるまで

 


 

教科書やマニュアルのない、異素材を使ったデニムづくり。その構想段階のエピソードや、完成するまでのストーリーを、開発担当者が振り返ります。

 

What’s made us “EXCLUSIVE”?

 

PROFILE

 

安藤信孝
ジャパンブルー 企画開発室 室長
1979年生まれ、岡山県出身。小学校でデニムに興味を持ち、アメカジブームの折には古着に夢中に。その後、国内外のデザイナーズブランドなどにも傾倒し、テキスタイル部門の営業として入社。現在はMOMOTARO JEANSの多くの商品開発に携わっている。

 


 

―そもそも、異素材を使うデニムづくりに踏み切った経緯は?

僕はもう20年くらい、児島でのものづくりに携わっているんですが、個人的にヴィンテージやアーカイブの焼き直しのようなものづくりだけではどこか物足りなさを感じていました。一方で、普段は違うモノづくりをしている現場同士の力をミックスすることはすごく楽しく感じていて、新しい素材でデニムをつくってみたいと思ったんです。「EXCLUSIVE」では、そんな日本のモノづくりのおもしろさを感じてもらえたら嬉しいなと思っています。

―緯糸の素材の選定理由は?

MOMOTARO JEANSでは過去にもシルクを使ったデニムを展開していたんですが、このシではそこにカシミヤもラインナップに加えました。ともすればイロモノっぽく感じられるかもしれませんが、デニムは生地の組織上、裏側に緯糸が多く露出するので、着心地や肌触りの良さが特に実感できるようにこれらの素材を選んでいます。

―開発で難航した部分は?

繊細なカシミヤや滑りやすいシルクでデニム地を織ることは技術的にすごく難しいんですが、ずっとお付き合いのある生地の工場さんにそのためだけに機械を調整してもらうことで実現できました。デニムはテンションをかけて織るので、カシミヤはただ織っただけだとその質感があまり感じられなかったんですが、フランネル生地を生産している工場さんに生地を送って、加工を施してもらうことでカシミヤらしい起毛とやわらかな肌触りが実感できるようになりました。

―カシミヤとシルク、それぞれ見栄えでの特徴は?

シルクは表地にも落ち着いた光沢が出るのが特徴です。でも、ピカピカしすぎないよう、シルクの太めの絹紡糸を双糸にして織っているので、コットンのような自然な風合いになっていてはきやすいと思います。その質感の加減を調整するために、経糸も従来より少しだけ細くしたりと、色々調整しました。カシミヤはニット用の糸で、肉厚感を出したかったので双糸にして使用しています。できたデニム生地がすごく上品だったので、ステッチも同系色にしてシックにしています。

―「EXCLUSIVE」というレーベルについて。

生地問屋がルーツにある僕らにとって、このシリーズは生地のクオリティのアピールにもなると思っています。傷や狂いがなくて、安定して高い品質で生地がつくれるということの。個別のレーベルとして独立させて、それを続けていくっていうのは、僕たちの覚悟でもあるんです。

 


 

デニム地でも際立つ
カシミヤの上品さ

 


 

What’s made us “EXCLUSIVE”?

 


 

MOMOTARO JEANSの真骨頂でもある「特濃-TOKUNO BLUE」のコットンの経糸に、カシミヤの緯糸を交織した13.7オンスデニム。しっかりとして厚みやコシはありつつ、やわらかさも感じる質感はコットン100%ではなかなか味わえないもの。フランネル生地の仕上げを施すことで、肌触りもさらに良好に。ボディとのコントラストの弱いステッチで、落ち着いたルックスに仕上げています。シルエットはストレート、テーパード、スリムの3種類。

 

What’s made us “EXCLUSIVE”?
What’s made us “EXCLUSIVE”?
What’s made us “EXCLUSIVE”?
What’s made us “EXCLUSIVE”?

 

1_ヒップポケットはロゴを刻印した隠しリベットで補強。2_トーナルのステッチとブラックのレザーパッチで後ろ姿もすっきりと。3_タックインがしやすいマーベルト仕様。4_裏面のこの起毛感が、快適さのファクター。

 


 

“EXCLUSIVE”の生地も
もちろん旧式力織機製

 


 

What’s made us “EXCLUSIVE”?

 

こちらは「CLASSIC」レーベルで使われている、15.7オンスのコットン製生地を織っている力織機。

 

What’s made us “EXCLUSIVE”?
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1_数十台の旧式力織機が並ぶ様は圧巻で、工場内にはシャトルの轟音が響く。2_シンヤ株式会社の佐藤悦子会長。

 


 

よりヴィンテージ然とした表情の「CLASSIC」シリーズ同様に、「EXCLUSIVE」のデニム地も旧式力織機によってゆっくり時間をかけて織られています。生産を手がけるのは岡山県井原市にあるシンヤ株式会社。創業から75年の歴史があり、旗屋がひしめく同エリアでもいちはやくデニム生地の生産を行った老舗です。80年代半ばには世界的なジーンズブランドのオファーで生地を供給し、現在も名だたるブランドのデニム地を生産しています。

 


 

なめらかシルクと
極上の肌触り

 


 

What’s made us “EXCLUSIVE”?

 


 

カシミヤ同様「特濃-TOKUNO BLUE」仕様ながら、シルクはより厚手の15オンス生地。リジッドデニム特有の落ち着いた艶にシルクの微光沢が加わることで、シャープで洗練されたテクスチャーに仕上がっています。摩擦が少ない分、脚通りもスムーズで、細めのシルエットやタイトなサイジングでも着脱しやすく、着ているときもストレスフリーです。夏は涼しくベタつきにくく、冬は暖かい、四季のある日本らしいプロダクト。

 


 

What’s made us “EXCLUSIVE”?
What’s made us “EXCLUSIVE”?
What’s made us “EXCLUSIVE”?
What’s made us “EXCLUSIVE”?

 

1_同色でブランド名がプリントされたオリジナルのマーベルト仕立てはここでも踏襲。フロントフライはジップのみ。2_パッチのレザーとデニム、それぞれの質感が引き立つウェスト背面。3_陰影によって生地のさりげなく主張を増す、控えめな光沢感。4_裏返すと、よりシルクの特性が強く現れている。セルヴィッチは赤ミミ仕様。

 


 

その品質は、
職人たちの意志表示

 


 

素材使いや生地開発の革新的なアイデアも、職人の技術と生産現場の力なくして形となることはありません。「EXCLUSIVE」の生地を製品へと仕上げる縫製の現場を取り仕切り、自身も日夜ミシンを踏んでいるジャパンブルーの職人が、そこに込めた想いを語ります。

 


 

What’s made us “EXCLUSIVE”?

 

PROFILE

 

武林直美
縫製職人
若くして仕立ての世界に足を踏み入れ、縫製職人として半生を過ごす。ジャパンブルーに入社後は縫製の現場を指揮し、高品質を支えてきた。作業場奥にあるヴィンテージミシン、ユニオンスペシャルがお気に入り。

 


 

「私がジャパンブルーに入社して、もう20年くらいが経ちました。MOMOTARO JEANSが始まった頃にはもうこの会社にいましたね。元々テーラー畑にいたので、最初は硬いデニムは勝手が全然ちがって、どういうふうに縫ったらきれいに仕上がるのか、どうやったら上手くいくのかをずっと考えていました。たぶん、追求することが好きなんです。やってできないことはないはずだ、という気持ちでこれまでもずっとやって来たから。

パタンナーさんに生地屋さん、生産の人たちに縫製のスタッフたちと、みんながそれぞれ考えて、力を合わせて1本のジーンズはできています。つくる側にとっては何万本のうちのひとつでも、それをはいてくれる方達にとってはその1本がすべてなんだから、私たちもそれと向き合わなきゃいけない。私たちが縫っているデニムは仕立ての経験が活きていて、仕上がりや運針のきれいさにもすごくこだわっています。「EXCLUSIVE」でも特にシルクは生地が滑るので、生地を抑えながらきれいに縫っていくのは手の感覚と経験が頼り。若いスタッフにもそれをずっと伝えて来たけど、彼らもどんどん上手くなってきて、最近では口を挟むこともほとんどなくなりました。

 


 

What’s made us “EXCLUSIVE”?

 

作業場の一角に吊るされていたクマのぬいぐるみは武林が戯れにつくったもの。職人らしい遊び心と技術の高さがうかがえる。

 


 

ウェストにマーベルトを付けるようになったときには既存のミシンではそれが難しくて。ミシン屋さんに相談して、それ専用に治具をつくって改造してもらいました。彼らももう長い付き合いだし、同じ時代を見て来ているからすごく話が早いですよ。今は修理も私たちが行なっているから、はき込んだジ―ンズの壊れ方の傾向を知ることで次のモノづくりに活かすことができる。自分たちだけではわからないことを、お客さんが教えてくれるんです。

おこがましいけど、大事なお金を払って買っていただくものなんだから、やっぱりできるだけきれいに縫いたいっていう気持ちがずっとあります。ただ、いいものをつくりたい。それをはいて喜んでもらえることが、私もスタッフも、一番嬉しいんです」。

 


 


 


 


 


 

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